京都大学を中心とする国際研究チームは、世界156湖沼の約40年間にわたる長期水質データを統合解析し、地球温暖化が湖沼の藻類ブルーム形成に及ぼす影響を定量的に示した(掲載誌:Global Change Biology)。今回の成果は、温暖化によって藻類ブルームを規定する主要因が変化しつつあることを、全球規模の長期記録から明確に示した点に特徴がある。
世界各地で発生する有害藻類ブルーム(アオコ)は、水質悪化や生態系への影響、飲用水の安全性にも直結する深刻な問題である。従来、多くの湖沼では栄養塩(窒素・リン)の負荷削減が主な対策とされてきたが、長期観測では栄養塩を削減しても藻類ブルームが収まらない事例が増えている。この背景を検証するため、研究チームはまず経験的モード分解を用いて非定常の長期データから安定した傾向成分を抽出し、次に機械学習手法を用いて、水温・全窒素・全リン・窒素リン比の相対的重要度を比較した。併せて、構築したモデルに複数の気候シナリオを入力し、今世紀末までの将来変化を推計した。
解析の結果、対象湖沼は熱帯から寒帯まで広く分布し、全球的な傾向の抽出が可能なデータ群が得られた。藻類ブルームの支配要因は水温条件によって大きく変化することが明確に示された。低〜中水温では栄養塩が主要な制限因子である一方、高水温では水温が支配的因子となり、その影響は栄養塩の寄与を上回った。さらに将来シナリオ分析では、今世紀末にかけて世界の湖沼でクロロフィル濃度が上昇し、有害藻類ブルームの発生強度が現在より増すと予測された。これらの結果は、温暖化の進行により藻類ブルームの形成機構が変化し、従来の栄養塩管理だけでは抑制効果が弱まっていくことを示している。
研究チームは、今回得られた知見は「湖沼管理の再構築を迫る根拠」となるものであり、従来の栄養塩対策に加えて、「水温上昇を明示的に考慮した管理指針が必要」と指摘している。今後の課題としては、水温変化を取り込んだ藻類ブルーム予測の精度向上や、観測データとモデルを連携させた早期警戒システムの開発を挙げている。本研究は、中国の研究助成機関および日本の科学技術振興機構の支援を受けて実施された。
| 情報源 |
京都大学 最新の研究成果を知る
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| 機関 | 京都大学 |
| 分野 |
地球環境 自然環境 |
| キーワード | 水温上昇 | クロロフィル濃度 | 有害藻類ブルーム | 機械学習 | 栄養塩負荷 | 統合的管理 | 早期警戒 | 経験的モード分解 | 重要度評価 | 将来シナリオ |
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