国連環境計画、パリ協定の約束が実施されても削減は必要量の3分の1、目標を早急に高める必要があると「排出ギャップ報告書2017年版」で報告
発表日:2017.10.31
国連環境計画(UNEP)は、ボンで開かれる国連気候変動会議を前に「排出ギャップ報告書2017年版」を公表し、パリ協定の国別約束(NDC)が実施されても2030年までに必要な削減量の3分の1に過ぎず、各国政府や民間部門、都市等による大幅かつ早急な削減が必要だと指摘した。具体的に、NDCの完全実施による2030年の排出量は、気温上昇を2℃以下に抑えるのに必要なレベルよりCO2換算で11~13.5Gt、1.5℃の場合では16~19Gt多いという。しかし、農業や建物、エネルギー、輸送等の部門において、CO2削減1トン当たり100ドル以下の投資で新技術を導入することにより、2030年までにCO2換算で年間最大36Gt削減できると分析。この他、モントリオール議定書キガリ改正によるハイドロフルオロカーボンの段階的廃止、ブラックカーボン等の短寿命気候汚染物質の削減、カンクン合意に基づく2020年までのG20の削減量の拡大、石炭火力発電所の段階的廃止の加速、植林等による大気中のCO2除去などの対策も示した。