OECD、化石燃料補助金の廃止で温室効果ガスは減少と分析
発表日:2010.06.09
OECDは、化石燃料補助金の段階的廃止により、世界の温室効果ガス排出量は、「現状維持」シナリオによる2050年の予想水準に比べ、10%削減できるという分析結果を明らかにした。OECDのグリア事務局長は、クリーンエネルギー推進プロジェクトに資金を投じながら、一方では温室効果ガス排出を促す化石燃料に補助金を出すのは財源の無駄遣いだとし、非効率な化石燃料補助金の廃止に期待を示している。新興国と途上国については、化石燃料補助金が多額にのぼるという試算があるが、先進国では石油・ガス生産への優遇税制、特別融資保証、燃料使用に対する免税等の間接的な補助金が多く、試算がむずかしい。OECDは、このデータ不足を補い、さまざまな要素を評価する手法の開発や、補助金改革の成功事例によって、政治的に困難な課題である化石燃料補助金の改革を促す。また、補助金の効果は富裕層にとどまり貧困層の利益にならないため、貧困軽減のためにも非効率的であるとしている。この分析結果は、2010年6月のG20トロント・サミットに向けて作成中のIEA、OPEC、OECD、世界銀行による共同報告書で発表される。