国際エネルギー機関、『世界エネルギー展望2011年版』を発表
発表日:2011.11.09
国際エネルギー機関は、『世界エネルギー展望2011年版』を発表し、経済成長や人口増加によりエネルギー需要が増加する中、不安定で非効率的な高炭素エネルギーシステムからの脱却に向け、各国政府の大胆な政策転換が必要であると警告した。クリーンエネルギーへの対策が遅れれば、CO2排出量の多いインフラからの排出が続き、気温上昇を2℃以内に抑えるという気候変動の目標達成が困難かつコスト高になるとしている。同報告で中心的な「新政策シナリオ」によると、2035年までに一次エネルギーの需要は3分の1増加し、増分の90%は中国など非OECD諸国が占めるという。また、化石燃料の割合はわずかに低下し(81%から78%へ)、再生可能エネルギーは補助金の下支えによってやや増加(13%から18%へ)、原子力発電は現状に比べて70%以上増加するとしている。一方、脱原子力へ向かう場合を分析した「低原子力ケース」では、再生可能エネルギーへの後押しとなる一方で、エネルギー価格の高騰やエネルギー安全保障への影響が懸念され、気候変動対策への影響も指摘されるという。