九州大学と住友金属鉱山（株）は、コバルトや希土類元素等のレアメタルの抽出性に優れた新規の抽出剤を開発したと発表した。ハイブリッド車や携帯用電子機器などに使用されるニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池には、コバルト等の有価金属や、マンガンが含有されており、その分離回収が課題となっている。今回開発した抽出剤は、コバルトとマンガンを含む酸性溶液と混合すると、マンガンを水溶液に残したままコバルトを抽出剤に効率よく抽出することができる。同様に従来分離が非常に困難であった重希土類元素（ツリウム、イッテルビウム）と軽希土類元素（ランタン、セリウム）をともに含む水溶液から、軽希土類元素を優先的に抽出することができる。また、ユーロピウム（Eu）、イットリウム（Y）、亜鉛（Zn）を含む水溶液からは、ユーロピウムを選択的に抽出できることも確認しており、これらの元素の分離が可能となることが期待されるという。両者では今後、同抽出剤を用いた製錬・リサイクルプロセスの開発を進めていくという。