国環研など、オゾン層破壊をもたらす大気中の塩化水素が北半球で近年増加と発表
発表日:2014.11.06
(独)国立環境研究所、東北大学を含むベルギー他8カ国のメンバーによる研究グループは、オゾン層破壊をもたらす塩化水素(HCl)濃度が北半球下部成層圏で2007年以降増加していることを発見した。フロン類の規制により、オゾン層破壊の元となる成層圏大気中の塩素総量は1990年後半から世界的に減少していると報告されている。今回の発見は、国際的なネットワークを構成して観測を行っているフーリエ変換型赤外分光計(FTIR)を用いた地上観測および人工衛星観測によるもの。この増加の原因は、大気モデルによるシミュレーション結果との比較から、北半球の大気循環の数年程度の短期的な減速であることが分かった。なお、HCl濃度の増加は一時的な現象で、モントリオール議定書によるフロンの排出規制の効果を否定するものではないことを、科学的検証により確認している。しかし、大気循環の数年程度の変動はHCl等の大気成分に変動をもたらすため、今後の成層圏オゾン層回復の様子を調べる際には、このような大気循環の変動を十分に考慮する必要があるという。
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