国環研など、温暖化に伴う永久凍土の存在しにくさを予測
発表日:2021.07.30
国立環境研究所、北海道大学および海洋研究開発機構は、大雪山の永久凍土が消失、もしくは大幅に減少するという評価結果を発表した。北半球には陸域の25%を占める永久凍土帯が広がっている。表層はコケなどの有機物で覆われており、大規模な融解の進行によるGHGの大量放出が懸念されている。一方、温暖な日本において永久凍土が見られる場所は限られており、標高の高い富士山や日本アルプスの立山、そして緯度の高い大雪山の山頂部で永久凍土帯の存在が確認されている。今回、国立環境研究所等は、永久凍土に着目した温暖化影響調査や分布予測モデルの開発、大雪山の永久凍土帯に関する知見を活かして、同地の「永久凍土を維持する気温環境(以下「永久凍土環境」)」の現状評価と将来予測を行った。その結果、現在は150 km2程度と推定される永久凍土環境は、成り行きシナリオでは2070年頃に完全消失し、2℃安定化シナリオでも2100年時点で1/10程度(2000年代比)に減少することが明らかになった。永久凍土環境の劣化は、斜面の不安化や生態系の変化を引き起こす可能性がある。山岳環境の変化を正確に監視すると同時に、自然資源の保護等にかかる適応策の立案が一層重要になるという。
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