産総研と阪大、羽や足跡画像から動物種を推定するAIモデルを公開
発表日:2025.07.29
産業技術総合研究所(産総研)人工知能研究センターは、大阪大学大学院情報科学研究科と共同で、動物の痕跡画像から種を推定するAIモデルを開発した。
足跡、糞、羽、骨などの痕跡は、野生動物の生息状況を把握するための重要な手がかりであるが、従来は専門家による鑑定が必要であり、調査の効率性や汎用性に課題があった。本研究では、痕跡画像をもとに動物種を推定する画像認識AIモデルを構築するため、約16万件の痕跡情報を含む大規模データセット「AnimalClue」を新たに整備した。このデータセットには、968種にわたる動物の痕跡画像に加え、生物階層情報や行動パターン、生息地域などのアノテーションが付与されている。
構築されたAIモデルは、画像識別・物体検出・物体セグメンテーションの各技術を活用しており、羽の画像においてはTop-1精度65%以上で555種の候補から正しく種を識別することに成功した。また、痕跡の形状に応じた詳細な分類も可能であり、専門知識がなくても野生動物の種を推定できる点が特徴である。
この技術は、土地開発や環境アセスメントの現場において、希少種の存在や生息状況を効率的に把握するツールとしての活用が期待される。さらに、ベンチマーク評価の公開により、今後のAIモデル開発の加速が見込まれる。研究成果は、MIRU2025およびICCV2025で発表予定であり、データセット「AnimalClue」はGitHub上で公開されている。なお、本研究は産総研の政策予算プロジェクト「フィジカル領域の生成AI基盤モデルに関する研究開発」に基づき実施された。
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