京大と琉球大、トウキョウサンショウウオの非専門家向け判別手法を確立
発表日:2021.11.15
京都大学と琉球大学の研究グループは、トウキョウサンショウウオ(環境省RL:絶滅危惧II類)のDNAを選択的に増幅し、形態的に酷似しているトウホクサンショウウオ(同省RL:準絶滅危惧)と簡単に判別する手法を開発した。関東地方と福島県の一部に分布するトウキョウサンショウウオは、里地里山等を主な生息地・産卵場所としている。本種は生息環境の悪化からその生息数が減少しているため種の保存法の「特定第二種国内希少野生動植物種」にも指定されており、販売・頒布目的の陳列・広告、譲渡し、捕獲・採取、殺傷・損傷、輸出入等が原則として禁止されている。同研究グループは、トウキョウサンショウウオをめぐる違法販売事案(2020 年4月)や、同種と偽ってトウホクサンショウウオを販売した業者が報告されていることを危惧し、新型コロナウイルスの簡易検出キットにも利用されている「LAMP 法」に着目し、同種を現場で迅速に判別する手法を考案した。先ず、既存データベースに登録されている両種のDNA 配列を参照して専用のプライマーを設計した。その上で設計したプライマー、研究用に採集した両種の全ゲノムDNA、LAMP反応用試薬を用いて、その有用性を検証した結果、先行研究で報告されている2系統のトウキョウサンショウウオのDNAを増幅できることが実証された。LAMP法は定温(65℃)・短時間(1時間)で鎖置換反応が進行し、蛍光試薬を用いることで反応液の視認性を向上させることが可能であることから、非専門家の判別ミス軽減につながることが期待される。また、将来的には生息環境の水などから得られる環境DNAからの検出も可能となるものと考えられる。現段階においても社会実装が十分可能な手法であり、今回開発したプライマーの導入・普及は「違法販売防止への大きな一手」になり得ると述べている。
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