子どもの成長パターン、妊婦の血中元素濃度が高ければ小さくなる傾向(エコチル調査)
発表日:2022.12.23
国立環境研究所のエコチル調査コアセンターは、子どもの成長パターンを類型化し、母親の妊娠中の血中元素濃度との関連を解析した。これまでの国内外の研究では、子どもの体重を出生時の低体重(Low Birth Weight)のみで評価してきた。本研究では、エコチル調査によって得られた大規模な繰り返し調査データを活かして、新たな評価指標となる「子どもの成長パターン」の創出を試み、母親の妊娠中の血中元素濃度がおよぼす影響の解明に迫っている。出生から3歳までの間(以下「追跡期間」)に体重データが収集できた約99,000名の情報をもとに、子どもの成長パターンを5つのグループに大別することが可能となった。その上で、追跡期間中の各グループの特徴を分析した結果、日本小児内分泌学会が示す平均体重に近い成長パターンは約21.9%、標準的な体重で生まれてその後小さく成長する群は約31.3%を占めることが明らかになった。また、出生時は大きくその後標準的な体重になる群(約28.1%)、出生時に大きくその後も大きく成長する群(約14.0%)、出生時に小さくその後も小さく成長する群(全体の約4.7%)が存在することが見出された。さらに各グループと母親の血中鉛濃度及びセレン濃度の関連を調べたところ、血中鉛濃度等が高い場合は子どもの成長パターンが小さくなる傾向が強まることが示唆された。乳幼児期のみならず、就学までの幼児期、学童期、思春期においても体重の変化は健康管理の重要な指標になるため、追跡期間を延長して体重の変化パターンを明らかにする必要があるという。
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