産総研ら、”便器のふたは閉めて流すと衛生的”を科学的に検証
発表日:2024.10.28
産業技術総合研究所(産総研)は、金沢大学と共同で、節水型水洗トイレから発生する飛沫の挙動を可視化することに成功した。―――コロナ禍以降、「便器のふたは閉めて流すと衛生的」という認識が広く定着した。この研究は、それが特段の科学的根拠に基づかない風説や思い込みであるという視座から、水洗トイレから飛散するウイルスの定量測定を行ったもの。特に、便器のふたの開閉によるエアロゾルの空間分布の違いを明らかにしている。実験では、パーティクルカウンターを用いて、環境湿度を制御した上で水洗トイレ洗浄時に発生するエアロゾルの空間分布を粒径別に測定した。その結果、便器のふたを閉めることでエアロゾルの上方への発生・拡散が抑制される一方、使用者側に15 cm程度の距離までエアロゾルが染み出すことが分かった。また、模擬ウイルスを含む飛沫の汚染リスクを評価し、水洗トイレ使用時の衛生管理に重要な知見を得た。―――さらに、節水効果にも注目が集まっている。実験に使用された便器は、1回の水洗で流れる水量が6 Lの節水タイプであり、20年以上前の標準的な便器の約半分の水量である。これにより、使用水量の大幅な削減が期待される。この研究成果は、トイレを使用する際の衛生管理における注意点を科学的に解明したものである。2024年11月3日から7日にマレーシアのBorneo Convention Centre Kuchingで開催される「第13回Asian Aerosol Conference(AAC)2024」にて発表されるという。
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