文科省、最近の大雨に対する温暖化影響を判定~EA手法拡張へ
発表日:2024.12.09
文部科学省は、本年9月下旬に発生した石川県能登の大雨に対して地球温暖化が寄与したと発表した。同省は2022年度より、気候変動予測シミュレーション技術の高度化や気候変動メカニズムの解明、気候予測データの高精度化などを目指す取り組み(気候変動予測先端研究プログラム)を推進している。──今回の発表は、同プログラムと気象庁気象研究所の協力による、イベント・アトリビューション(EA)手法の成果に基づくもの。石川県能登の大雨を対象に量的EA手法を適用した結果、地球温暖化がなかった場合と比べて総雨量が15%増加していたことが判明した。この結果は、地球温暖化に伴う気温や海面水温の上昇が、同地の雨量の増加に寄与していたことを示している。また、地球温暖化が極端な気象現象の発生確率や強さに影響を与えていることも裏付けている。──今後、5 km解像度の確率的EAの結果を分析し、各都道府県単位の高温や大雨イベントの発生確率及び強さの評価を進める研究や、能登の大雨に起因する洪水等の水災害にまでEAの対象を拡張する研究も進める。さらに、EAを迅速かつ簡易的に実施する新しい機動的EAシステム(開発中)を用いて、エルニーニョ等の地球温暖化以外の影響を評価するという。