Science Tokyo、糖由来カーボン膜でPFASを低コスト除去
発表日:2025.01.15
東京科学大学(Science Tokyo)の磯部准教授と藤井准教授らの研究チームは、PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)を環境基準以下まで除去できる「カーボン膜を用いた膜蒸留システム」を開発した。このシステムに用いるカーボン膜は、糖類(グルコース)から合成することが可能で、逆浸透膜(RO膜)などによる膜分離技術よりも優れた点が多い。──PFASは、界面活性剤や撥水剤などに広く使用されてきたが、自然環境下で分解されにくく、人体や生態系への影響が世界各国で懸念されている。従来の活性炭による吸着除去は二次災害のリスクがあり、逆浸透膜(RO膜)による除去はランニングコストが高いといった問題があった。本成果は、低コストかつ高効率なPFAS除去をはじめ、細孔径の制御による汎用性の高さ、市販の食用砂糖からも同様のカーボン膜が作製できるといったメリットを有している。──今後、研究チームは、実土壌における浄化試験を行い、単位時間あたりの水処理量を増加させるための要素技術開発を行う。また、現状ではPFASの疑似汚染水をヒーターで加熱し、真空ポンプで水の蒸発を促進しているが、将来的には太陽光を利用した加熱方式に切り替え、ヒーターや真空ポンプを使用しない完全な電力フリーのシステムへ展開を目指すという。
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