埼玉県、LiB分別回収FSからサーキュラーエコノミー構築へ
発表日:2025.04.02
全国各地で充電式電池の分別排出に関する取り組みが進んでいる。環境省は指導や支援を行っており、自治体や事業者に向けて適切にリチウムイオン電池(LiB)を処理するためのガイドラインや広報資料を提供している。──埼玉県は、家庭から出る使用済みLiBからレアメタルを回収する実証試験の成果を公表した。実証試験は、同県環境部資源循環推進課が中心となり、太平洋セメント、松田産業、荏原環境プラントと連携して行われた。令和6年10月から令和7年2月にかけて、さいたま市、所沢市、狭山市、上尾市、越谷市の公共施設や集積所で収集された充電式電池を分別し、松田産業が収集、同社と太平洋セメントが再資源化し、レアメタルを回収した。また、令和7年1月から2月にかけて、加須市とさいたま市で専用収集ボックスを設置し、安心・安全な収集のあり方を検証した。さらに、埼玉県環境科学国際センターでは、従来のテープによる絶縁処理に代わる手法の検討が行われた。──実証試験の結果、電池の種類や内蔵製品ごとに分別し一定量確保することで、ごみ処理費用が不要でレアメタルの回収が可能となることが分かった。また、専用収集ボックスを設置したことで、著しい温度上昇や発火等はなく安全に収集することができ、住民にとっても利便性が高いことがアンケートで確認された。薬品による放電方法について検証したところ、セスキ炭酸ソーダが最も適切に放電できることが判明した。──スマートフォンやモバイルバッテリー、加熱式・電子たばこといった身近な小型家電にはLiBが内蔵されている。充電式電池にはコバルトやニッケルなどのレアメタルが含まれているが、資源としての回収は十分に行われておらず、適切に分別されずに不燃ごみや粗大ごみとして排出されることで、ごみ処理施設で火災が発生する原因となっている。埼玉県は充電式電池の分別排出の徹底に前向きな姿勢を示しており、今回の実証成果を踏まえ、令和7年度は県民からの適正な分別収集からレアメタル回収に至るまでの一連のルート構築を目指すという。
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