高致命率のマダニ媒介性感染症-林縁では十分な対策を!
発表日:2025.04.08
森林総合研究所と札幌東徳洲会病院の研究グループは、マダニ媒介性感染症の一種である「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」が発生しやすい環境条件を特定した。──SFTSは致命率が高い感染症であるが、ワクチン等による予防体制が未だ整っていない。また、感染・罹患を回避するために、林業や登山、ハイキングなどのあらゆる野外活動を停止することは現実的な対策とは言えない。今回、研究グループは、SFTSの患者の発生地点とその周辺の環境条件を調査し、統計モデルによる解析を行った。その結果、SFTSの患者は、森林が草地や裸地と接するエリア(林縁:りんえん)や温暖な地域で高いことが明らかになった。林縁は人間と野生動物の接点となり得る場所でもある。──本成果は、どんな環境条件でSFTSの感染が発生しやすいかを示すことで、感染リスクを正しく恐れながら野外活動を行うことを可能とするものでとなっている。また、SFTS感染症リスクを緩和させるための土地利用や生態系管理の検討に役立つ知見を提供するものだ。例えば、高リスクの林縁で活動する際には、マダニに効果がある虫除け剤を使用したり、長袖、長ズボン、長靴を着用するなどの対策が推奨される(掲載誌:EcoHealth)。
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