見えない脅威!メタン濃度が2.6倍に(GCP最新報告より)
発表日:2025.05.12
東京大学大学院農学生命科学研究科の伊藤教授を含む、世界の科学者68名による国際研究チームは、2000〜2020年のメタン(CH4)収支を統合した最新報告を発表した。これは、目に見えないが気候変動を確実に加速しているGHGの一つ「メタン」の発生源と吸収源を網羅的に解析したもので、国際研究プロジェクト「グローバル・カーボン・プロジェクト(GCP)」の成果である。──同報告によれば、2022年の大気中メタン濃度は産業革命前の約2.6倍にあたる1,912 ppbに達しており、主な原因は農畜産業、化石燃料採掘、廃棄物処理による人為排出の増加である。特に2010〜2019年の年間排出量は575〜669 Tgと推定され、その約65%が人間活動に起因していた。また、近年の濃度上昇は、国際的な削減目標とは乖離しており、対策が不十分であることが浮き彫りとなった。この報告は、今後の気候政策に向けた科学的基盤となり、観測とモデルのさらなる精度向上の必要性を強調している。