東京23区住民、森林への関心と訪問実態にギャップ(全国調査比)
発表日:2025.07.29
森林総合研究所の研究グループは、東京23区の住民5,000人(以下「対象者」)の森林への関心と訪問頻度を調査した。その結果、対象者の約半数が森林に関心を持っていることがうかがえ、過去1年間に森林を訪れた人の割合は35.6%であった。
森林訪問に結びつく要因としては、「旅先で景色の良い場所を散策する頻度」が最も強く影響していることが明らかになった。また、幼少期の自然体験や日常的な散歩習慣が、森林への関心と訪問頻度に正の影響を与えていることや、車を持たない世帯や高齢者は訪問頻度が低いことが判明した。
今回の調査結果は、全国調査の結果(48.1%)と比較して低く、都市部では森林への関心と実際の訪問にギャップがあることが明らかとなった。特に東京23区では加齢による体力低下と公共交通機関による移動負担が障壁となっている可能性が示唆された。
その他にも、森林の認識にも個人差があり、新宿御苑などの都市公園を森林と捉える人が23.5%、高尾山などの登山道を森林と捉える人が79.9%であった。すなわち、都市住民の森林への関心や訪問には、広義の自然空間も含まれていることが確認された。
研究グループは、都市住民の森林利用促進においてアクセス改善が重要であることや、山村地域の活性化や関係人口の拡大の重要性を指摘している(掲載誌:Forests)。