静大・同大スタートアップら、茶殻繊維で合成皮革を共創
発表日:2025.07.30
静岡大学農学部と同大学発スタートアップ企業のS-Bridgesは、帝人フロンティアとの共創により、茶殻由来の繊維を活用したバイオマス合成皮革を共同開発した。
企業主導の異業種連携プロジェクト(参加企業:S-Bridges、帝人フロンティアほか5社)のBMT(Bio Material Transformation)チームの活動の一環であり、静岡大学が加わることで植物資源の100%活用を目指す循環型イノベーションの具体的成果が創出された。――本技術は、S-Bridgesが独自に開発した「CB(Cell Breaker)処理」により茶殻から抽出された繊維を、帝人フロンティアのバイオマス担持技術によって合成皮革の生地層に組み込むことで実現された。従来の植物由来合成皮革と比較して、平米あたり2倍以上のバイオマス素材使用が可能となり、石油由来素材の代替としての可能性に加え、天然皮革に代わるエシカル素材としても高いポテンシャルを有する。試作品として製作されたネームホルダーは、静岡大学農学部の教職員に無償配布され、8月1日の夏季オープンキャンパスにて初披露される予定である。
今後は、実用性に関するフィードバックを踏まえ、さらなる技術開発と量産体制の構築が進められる。本プロジェクトは、S-Bridgesによる循環型素材の社会実装構想、静岡大学農学部が掲げる「Nature Positive」の教育理念、そして産官学連携によるイノベーション創出の好例である。