TOPPANとOOYOO、CO2膜分離技術のスケールアップに挑戦
発表日:2025.10.10
TOPPANホールディングスと京都大学発のディープテック・スタートアップ「OOYOO(ウーユー)」は、CO₂の分離回収と再利用を目的とした『高性能CO₂分離膜の量産化技術』を共同開発し、実証実験を開始した。
2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、CO₂分離回収技術の重要性が高まっている。国際エネルギー機関(IEA)のシナリオでは、2030年に年間17億トン、2050年には76億トンのCO₂分離回収が必要とされており、世界各国で技術開発が加速している。他方、欧州ではEU-ETS(排出量取引制度)が進展し、米国ではインフレ抑制法に基づくカーボンプライシングが導入されるなど、政策面での支援も広がっている。日本でも2025年3月にGX推進法の改正が成立し、CO₂排出削減に関連する事業化が本格化している。また、政府は「先進的CCS事業」を通じて、2030年までに年間600~1,200万トンのCO₂貯留を目指す方針を打ち出している。
今回の実証実験は、TOPPAN総合研究所(埼玉県杉戸町)に設置されたガスボイラーからの排ガスを対象に、OOYOOが独自開発したCO₂分離膜を搭載した装置(回収量:100 kg/日)を用いて、CO₂回収純度・回収率・連続運転による性能安定性を検証する。TOPPANは膜製造と排ガス提供を担い、OOYOOは装置の設置・運転・データ分析を担当する。 両社は本実証を通じて膜・モジュール・装置技術の向上を図り、2030年までのCO₂分離膜事業の立ち上げを目指す。当面は中小規模工場への適用可能性を確認し、大規模工場への展開に向けた布石とする。
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