欧州環境庁(EEA)は、気候変動とその影響に関する最新の傾向と予測を示す報告書を発表し、欧州の生態系、健康、経済への影響がさらに深刻化していると報告した。報告によると、気候変動が原因で海面が上昇し、熱波や洪水、干ばつ、嵐などの極端気象も頻発しており、今後も増加が予想されるという。特に気候変動に脆弱な地域である欧州南部と南東部では、すでに極端な暑さが大幅に増加、降水・河川流量も減少し、干ばつや作物生産の低下、生物多様性の減少等のリスクが増大している。欧州西部の沿岸部も海面上昇と高潮の増加による洪水リスクが増大している。陸・海の生物多様性も脅かされており、動植物種の生活環が変化し、北上または高地に移動している。また洪水による感染症等の健康被害や熱波の頻度・強度の増加による早死が多数発生した。極端気象現象は、1980年以降EEA加盟国に4000億ユーロ以上の経済損失をもたらしたという。こうした影響を低減するには、より柔軟な適応戦略・政策が不可欠であり、リスク評価や適応策の検証等の知見向上が重要としている。