欧州環境庁(EEA)は、欧州が北極圏環境に及ぼす影響と北極圏の変化が欧州に及ぼす影響に関する報告書を公表した。北極圏では世界平均の約2倍の速度で温暖化が進み、生活条件や環境に重大かつ急速な変化が及んでいる。こうした気候要因に加え、北極圏は経済開発、生物多様性の減少、外来種の脅威など様々な変化要因による強い圧力を受けており、こうした圧力は同地域のみならず欧州全域、さらに、気候調整や海面上昇で北極が果たす役割により、全世界に累積的影響を及ぼしているという。欧州は北極圏の変化に寄与してきたが、気候変動や広範囲汚染の影響の緩和、健康・生活水準の向上、資源の持続可能な管理の推進等の分野でEU加盟国はプラスの役割も果たすことができるという。世界的な景気の低迷・変動で北極圏への投資が減速し、同地域の生態系に関する理解の向上、クリーン技術の開発、管理の安全基準の設置等に取組む時間が増えた。この絶好の機会を活かすべきであり、北極圏の変化について知ることは重要だが、その知識を記録するだけでは不十分だと報告書は強調している。