国連環境計画(UNEP)は、気候変動訴訟に関する報告書を発表した。気候変動訴訟の件数は過去3年間で2倍近く増加しており、政府や企業が気候変動へのコミットメントを履行し、より野心的な気候変動の緩和と適応の目標を追求することを迫られるケースが増えている。2017年の気候変動訴訟数は24か国で884件であったが、2020年は38か国で1,550件以上起こされており、最近の事例を見ると、今後は先進国から途上国へも拡大すると予想される。最近の気候変動訴訟の傾向として、1)生命、健康、食糧、水の権利を含む基本的人権の侵害の増加、2)政府による気候変動の緩和と適応に関する公約の不履行、3)企業が気候変動の影響に関する虚偽または誤解を招くような情報を発信する「グリーンウォッシング(greenwashing)」あるいは情報の非開示、などが挙げられる。今後は、気候リスクを誤って報告している企業、異常気象への適応を怠っている政府などへの訴訟が増加すると予想される。