中国科学院(CAS)は、エベレスト地域における最近の気候と環境の変化を総合的に分析した結果を発表した。同院の研究者と共同研究者は、同地域の気温、降水量、氷河・氷河湖、河川・湖沼の水質、大気環境、植生フェノロジーの変化と現状を中心に、文献調査と最新のデータやモデリングに基づいて研究を行った。氷床コアや樹木の年輪から復元された過去の気温記録によると、同地域では20世紀の間に著しい気候の温暖化が見られた。氷河面積は1970年代から2010年にかけ大幅に縮小し、河川の流出量が大幅に増加している。また、2018年における氷河湖の面積と数は1990年比で大きく増加した。これらの結果は同地域が地球温暖化に伴う水文学的な反応を示していることを表していて、今後数十年の間にその反応が強まり、下流域の水資源の安全性が脅かされる可能性がある。同地域の長期的かつ持続的なモニタリングシステムの構築は緊急の課題であり、これにより、生態系、水文学、水資源への気候温暖化の影響を総合的に評価することができる。