(独)産業技術総合研究所(産総研)は、逆水性ガスシフト反応(二酸化炭素(CO2)を水素化し化学原料として有用な一酸化炭素に変換する反応)の触媒活性を持つニッケル錯体触媒を開発したと発表した。一酸化炭素は、CO2に比べて反応性が高く、多種多様な化学品の原料として用いられているが、高い毒性を持っている。産総研では、ルテニウム錯体を用いてCO2を一酸化炭素に変換し、その場で次の反応に用いることで、従来一酸化炭素を用いて合成していたプロセスをCO2で代替する技術を開発しているが、触媒コストの高さが普及を阻んでいた。今回、分子内に3つの結合箇所を持つピンサー型配位子を用いて、非貴金属であるニッケルでも反応を進行させることに成功した。今回開発した触媒により、プロセスを低コスト化できるため、機能性アルコールなどの各種機能性化学品の合成プロセスへの応用と普及が期待される。また、この反応を応用し、CO2を一酸化炭素と同等に利用することは、循環型資源の高度な利用法の一つとして期待されるという。