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 九大、再エネ発電拡大の経済合理性を裏付け

発表日:2021.12.01


  九州大学は、太陽光発電および風力発電による発電電力量の拡大が「電力卸売価格」の低減・安定化につながることを実証した。気候変動対策の一環として、再エネ発電の導入促進や主力電源化に向けた諸施策が進められている。他方、再エネ発電は石炭火力・ガス発電のように燃料費がかからないことから、限界費用(生産量を増加したときの追加的費用)がほとんどゼロになるという特性が注目されている。同大学は、欧米の先行研究を踏まえ、日本では十分に認知されていない「再エネ発電の拡大に伴う『価格低減効果(メリットオーダー効果)』」に焦点を当て、その定量化に取り組んだ。今回、電力卸取引所(JEPX)の前日スポット価格(2016~2019年度、時間値)、再エネの発電電力量・需要量、燃料価格のデータを解析した結果、太陽光(または風力)発電電力量が1 GWh増加することで、電力卸売価格を0.085円/kwh(または0.345円/kwh)押し下げる効果が発現することが判明した。また、2016・2017年度の電力価格高騰時にメリットオーダー効果が強く現れ、電力価格の安定化に寄与していることが示唆された(他年度比)。これらの知見は、再エネ発電の社会的便益を正確に推計するための重要な情報であり、CO2削減効果とともに重視すべき「経済合理性」の科学的なエビデンスの一つとして、政策立案に貢献するものであると述べている。

情報源 九州大学 研究成果
機関 九州大学
分野 環境総合
キーワード 風力発電 | 太陽光発電 | CO2削減効果 | 気候変動対策 | 経済合理性 | 電力卸売価格 | 限界費用 | 価格低減効果 | メリットオーダー効果 | 社会的便益
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