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 サンゴ礁島嶼における水循環と統合的水資源管理のためのボードゲーム

発表日:2023.01.12


  琉球大学地域共創研究科の島袋さんと理学部・海洋自然科学科の土岐准教授らは、ボードゲーム「すいまーる」の開発経緯や学童に対する導入成果を発表した。本研究は、同大学理学部・物質地球科学科の新城教授が代表を務めるJSTプロジェクトと、総合地球環境学研究所(地球研)のLINKAGEプロジェクトの一環として実施されたもの。後者のテーマは、陸と海をつなぐ水循環を軸としたマルチリソースの「順応的ガバナンス」の強化。沖縄島南部における地下水汚染機構の評価を皮切りに、琉球弧の歴史なども考慮しつつ、レジリエントな自然共生社会の実現に向けた調査研究が進められている。「すいまーる」というネーミングは、すい(水)と沖縄の言葉で助け合いを意味する“ゆいまーる”を組み合わせたもの。基本コンセプトは“水は正しく使えば、いつまでも使える”。淡水レンズなどの地下水脈を主な水資源とする島を舞台とするESD教材として開発された。ロールプレイング方式のゲームで、プレイヤーは野菜農家、畜産農家、漁業者、観光業者。それぞれの生活向上を目指しながら、共有財産である水資源を枯渇させないように使うという設定がなされ、さまざまなコミュニティにおいて導入効果の測定が行われた。多良間村立多良間小学校では小学5年生の児童に対し、「すいまーる」を使った授業が行われた。その結果、水資源の持続的な利用の大切さや、協力の重要性について学習効果が見られ、水資源保全に向けた協力のあり方に関し、「みんなで話合って決める(ボトムアップ型)」と「村長と議会が決める(トップダウン型)」といった意見集約が図られた。琉球弧の島々は、サンゴ礁島嶼系ならでは地域特性を有し、水以外の共有資源保全も地域課題となっている。本成果を踏まえ、島の環境やステークホルダーのイメージ(プレイヤー)をアレンジした新たなボードゲームを作成する予定があり、効果的な環境教育ツールになり得ることの一般性を実証してゆきたい、と抱負を述べている。なお、水の環ボードゲーム「すいまーる(β版)」のプリント&プレイ版本体や、導入テストに活用した副教材などは、琉球大学・水循環プロジェクトのサイトからダウンロードできる。

情報源 琉球大学 お知らせ(研究成果)
総合地球環境学研究所 研究ニュース
機関 琉球大学 総合地球環境学研究所 読谷村(よみたんそん)役場 関西学院大学総合政策学部
分野 自然環境
環境総合
キーワード 自然共生社会 | ボードゲーム | すいまーる | LINKAGEプロジェクト | 順応的ガバナンス | 琉球弧 | 淡水レンズ | ESD教材 | サンゴ礁島嶼系 | 共有資源保全
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