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 WASEDAの新・農業支援ロボット、実用化フェーズへの移行準備整う!

発表日:2023.02.08


  早稲田大学理工学術院総合研究所の大谷次席研究員と高西教授らの研究グループは、2020年から開発を進めている「農業支援ロボット」の実証成果を発表した(掲載誌:Agriculture)。高西教授はヒト形(ヒューマノイド)ロボット研究の草分けである故・加藤一郎教授の愛弟子。ヒューマノイド研究の流れを発展させつつ、時代の要請に応じた次世代ロボットの開発も進めている。本研究は(株)ソニーコンピュータサイエンス研究所が提唱する農業のパラダイムシフト・協生農法™(商標権者:株式会社桜自然塾)の社会実装を指向している。同農法は、複数の植物種が混生密生する環境下で作物を栽培する技術。耕起、施肥、農薬散布を行わないことから、環境負荷低減はもとより、生物多様性保全への貢献が期待できる。また、広く実践されることで、耕作不適地における食料生産や乾燥地帯の緑化などに貢献する可能性を秘めている。しかし、播種や苗移植、一定範囲の除草、作物の収穫といった基本的な作業は人力で行う必要がある。それらの効率化・自動化が大きな課題となっているが、従来の農業ロボットは単一作物の集約型生産をにらんで開発されており、個別の作業工程に特化したものが多かった。こうした課題を踏まえ、同研究グループはヒューマノイド研究の知見等を活かし、協生農法™の主要3タスク(播種、雑草剪定、収穫)に適したロボットや操縦システムの新規開発に着手した(2020年~)。具体的な利用シーンとしては、背丈の高い植物や複数の植物種が繁茂する農園、太陽光パネル下の空間(W2.5×H1.5 m)などを想定している。2021年以降は利用環境・要求仕様への最適化を進め、各般の作業ツールを開発するとともに、各種センサ類(例:360°カメラ)の装着による操縦システムのバージョンアップなどに取り組んだ。その結果、実利用環境で主要3タスクを実行し得る、「人と共に」を意味する“Syn”を冠した実証機「SynRobo(シンロボ)」が完成した。太陽光パネル下でSynRoboを連続稼働させた結果、動作時間と障害物との干渉率が半減され(試作段階・プロトタイプ比)、慣行農法に対する適用可能性も確認された。要素技術のさらなる改良によってSynRoboの実用性を高めるとともに、農業ロボットに係る包括的な検証などを進め、協生農法™の地球規模での展開等を支えていく、という。

情報源 早稲田大学 Topic
(株)ソニーコンピュータサイエンス研究所 NEWS
機関 早稲田大学  (株)ソニーコンピュータサイエンス研究所 サステナジー(株)
分野 自然環境
環境総合
キーワード 緑化 | 耕作不適地 | 生物多様性保全 | 農業支援ロボット | ヒューマノイド | 次世代ロボット | 協生農法 | 操縦システム | SynRobo | シンロボ
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