東京大学大学院農学生命科学研究科の清川准教授は、リッチモンド大学のジョナサン・リチャードソン助教が率いる研究チームの成果を紹介した。本研究は、ネズミの数の長期的な傾向を特定し、環境変化によってどのように形成されるかを理解することが、彼らの生態を理解し、将来の脆弱性と緩和のニーズを予測するために重要であることを示している(DOI: https://doi.org/10.1126/sciadv.ads6782)。──研究チームは、世界16都市のネズミに関する公的苦情と公衆衛生行政の検査データを分析し、ネズミの数の増加と都市環境の3つの主要な側面(人口密度、都市化、気温上昇)との間に強い関連があることを見出した。調査対象16都市のうち、ワシントンD.C.など11都市(69%)でネズミの数が有意に増加しているが、東京やニューオーリンズなど3都市では減少が見られた。気候変動の側面などについては、時間とともに気温が大きく上昇した都市や、人口密度が高く、都市化が進んでいる都市ではネズミの数が大きく増加することが示唆された。研究チームは、「これらの要因は、ネズミの管理に取り組む自治体や害虫管理専門家にとって大きな課題を生み出し、これらの要因を管理戦略に組み込む必要がある」と考察している。