東京科学大学は、可視光全域を捕集可能な高効率な人工光捕集システムを構築したと発表した(掲載誌:Angewandte Chemie International Edition)。多環芳香族炭化水素由来のナノリボン色素と液晶材料を組み合わせ、光エネルギーの段階的な移動を実現した。
光捕集システムは、太陽光エネルギーを反応に利用するために光を集め、運搬する仕組みであり、植物の光合成では二段階のエネルギー移動により90%以上の効率が知られている。人工系では、広い波長域を吸収する色素設計と、励起エネルギーを損失なく輸送する分子配列の両立が課題とされてきた。
本研究の鍵技術は、ペリ−キサンテノキサンテン骨格を最小単位としたナノリボン分子群の設計と、配向秩序をもつネマチック液晶場の利用である。ナノリボン化により吸収・蛍光特性を系統的に制御し、液晶中で色素分子を配向させることで、可視光全域を対象としたエネルギー移動を成立させた。評価指標として、二段階エネルギー移動効率とアンテナ効果を用いた。――ベンゾイル誘導体を導入した4種のナノリボン分子を合成し、最大三元系までネマチック液晶中にドープした。電気化学測定により最高被占軌道準位を評価した結果、材料の酸素安定性を保ちながら、二段階エネルギー移動効率70%を示した。
研究グループは、自然界の光合成に学んだ分子配向制御が高効率光捕集の設計指針になると述べている。今後は、分子配列により適した液晶材料の設計を進め、さらなる性能向上を図る方針である。