国連環境計画(UNEP)等は、汚水は適切に処理すれば、公衆衛生の向上のほか、林業・工業用水やバイオガス、生活用水、熱、電力、肥料の供給に役立つ有益な資源であることを示す報告書を、ストックホルム世界水週間の行事で発表した。報告書の事例によると、メルボルン市では、市内最大の汚水処理施設が自然保護地域にあり、市内の汚水の半分以上がそこで自然の分解能力を利用して処理され、この過程で生じるメタンを発電に利用しているという。また、ブエノスアイレス市では川の汚染がひどく、乳幼児死亡率が近隣地域の2倍も高かったが、憲法の規定する健康な環境を享受する人権に基づき監視評議会が設置され、川の浄化が進められるなど、法制度が水質や水環境の改善に有効なことも示している。さらに、フィンランドの複合処理施設が都市の熱や電気の需要の大半をまかなう例や、バイオガスでエネルギーの95%を自給するヨルダンの農業用水製造施設の例など、さまざまな汚水利用方法も示す。未処理汚水の90%は人口密度の高い沿岸部で生じていることから、報告書は、都市環境へ特に配慮し汚水処理に総合的に対応することを推奨している。