アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、米国西部やオーストラリアで発生したような大規模な山火事が、成層圏や気候に長期にわたって大きな影響を与えるとの研究結果を発表した。山火事の高熱が巨大な雷雨を引き起こし、地表から5~7マイル上空の成層圏に煙を運ぶことで、「pyroCbs」という積乱雲が発生する。2017年、北半球のpyroCbs現象は、成層圏下部のブラックカーボンと有機炭素の主要な要因となった。山火事で発生したブラックカーボンには非常に厚いコーティングが施されており、これはpyroCbsの煙の特徴である。同庁を中心とする大気科学者チームの調査により、pyroCbsが比較的少ない年でも煙の影響は非常に大きく、過去10年間の成層圏下部のブラックカーボンと有機炭素の約20%を占めていることが判明した。pyroCbsの煙が成層圏の構成に寄与し、長く留まっているという発見は、火山や航空からのエアロゾルの挙動や、エアロゾルを使ったソーラー・ジオエンジニアリングの長期的影響を理解するのにも役立つ。