国立科学財団(NSF)が助成した研究によれば、インドの農村部などで広く使われている調理用ストーブ(かまど)から出るすすは、肺へ入り込んで健康に悪影響を与える他、インドでのエアロゾルや温室効果ガスの最大の排出源の一つとなっている。これまでの実験は管理された条件下の研究室で行われていたが、それは実際の現場とは異なっていたため、研究者たちは2週間、農村部に住む人々と一緒に暮らし、泥のかまどと、木材、農業残渣、牛糞など、地元で調達した燃料を使って調理を行い、燃焼の異なるフェーズで光吸収量を測定してデータを収集した。燃焼温度が下がり始めて黒い煙が灰白色に変わると、すすの中のブラックカーボンが有機炭素に置き換わるが、煙が白っぽく見えるにもかかわらず、この有機炭素の粒子はブラックカーボンと同じくらい太陽光を吸収することが分かった。白色は光を反射するため、これまで有機炭素はブラックカーボンの太陽光吸収効果を打ち消すと考えられていた。