東京工業大学は、原子19個で構成される白金粒子(Pt19)が、現在の燃料電池に用いられている白金担持カーボン触媒の20倍もの触媒活性を発揮することを発見したと発表した。近年、燃料電池自動車の低コスト化が進み、普及し始めたが、いまだに車両価格の大部分を占める燃料電池製造コストは大きな課題となっている。特に燃料電池触媒として使われる白金は高価であるため、性能を保ったまま白金使用量を削減する技術が強く望まれている。今回、白金ナノ粒子の構成原子数を1原子単位で精密にコントロールして合成する技術を用い、少数の原子から構成される白金微粒子の酸素還元反応(燃料電池の正極反応)に対する触媒活性を調査した。その結果、特定原子数からなる白金ナノ粒子が燃料電池反応に対する高い活性を発現し、原子数わずか1個で触媒活性が大きく変化するメカニズムを解明した。将来、燃料電池に使用する白金を大幅に削減することで、燃料電池の低コスト化に寄与する基盤技術として期待されるという。