京都大学物質-細胞統合システム拠点(アイセムス)は、中国の江蘇師範大学と共同で、CO2を捉えて有機分子に変換する際に触媒として働く多孔性材料を開発した。この多孔性材料は、有機分子と金属イオンからなる「多孔性配位高分子(PCP)」と呼ばれる結晶性物質で、プロペラ様の分子構造を持つナノサイズの細孔を持っている。この細孔はCO2を選択的に取り込むゲートの役割を果たしており、通過後のCO2はジャングルジム状のネットワーク構造内部にある3種類の吸着サイトで捕捉される。X線結晶構造解析などの実験と理論計算により、細孔がCO2に対して高い親和性を有することが確認された。一方、CO2を吸着したPCPをエポキシドの環化付加反応に供試したところ、触媒として効率的に機能することが確認され、反応させるエポキシドに応じて、副産物を生じずに10種類の有機分子を生成することに成功した。有機溶媒を使用しない環境にやさしい反応プロセスにより、CO2を安価な資源として活用する技術への応用展開が期待できるという。