京都大学アイセムスの研究グループは、多孔性材料の一種である「多孔性配位高分子(PCP)」の戦略的な設計とガス分離等の制御に係る研究成果を発表した。活性炭やゼオライトなどの多孔性材料は物質の吸着・分離・貯蔵等に広く利用されているが、細孔や分子レベル構造のデザインが困難であった。同研究グループは、先行研究の成果を踏まえて、フェノチアジン-5,5-ジオキシドを含む配位子と銅イオンからなる新規PCPを設計し、温度依存性を有する孔(分子ゲート)を組み込むことでガス分子の動きを制御し、混合ガスからアルゴンなどを選択的・効率的に分離する機能を発現させることに成功した。また、温度調節による分子ゲートの閉鎖によって、吸着したエチレンガスを貯蔵して、ゆっくりと放出する機能を創出することにも成功した。温室効果ガスの分離やメタンの貯蔵をはじめ、広範な産業への応用なども期待できるという。