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 農工大など、送電線網が創出した空間の生物多様性を評価

発表日:2021.09.03


  東京農工大学、東京大学およびクィーンズランド大学からなる国際共同研究チームは、人工林に敷設された送電線の下に蝶の生息適地が広がっていることを実証した。草地の利用や林業をめぐる情勢変化に伴い、伐採を目的とする植栽や森林施業の在り方も変化してきた。植栽後10年以内の人工林が減少し、育林が長期化する一方で、人工林内では送電線網の整備と周辺の樹木伐採などが粛々と進められている。同研究チームは、こうした送電線直下の空間が植生遷移に役立っていることに着目し、針葉樹人工林景観を4つに区分し、各サイトにおける蝶の種数や個体数を5~9月にかけて調査した。その結果、「送電線の下」では草原性種のみならず荒地性種・森林性種の蝶が確認され、他サイト(幼齢の人工林、林道、壮年の人工林)よりも多くの個体が生息していることが分かった。送電線の下に植物群落が連続的に存在し、幼虫の餌源や成虫が吸蜜する花の豊富さがチョウ類相の支持に貢献していると考えられ、送電線下の植生管理による生物多様性保全が示唆されたという。

情報源 東京農工大学 NEWS
東京大学大学院農学生命科学研究科 NEWS
機関 東京農工大学 東京大学大学院農学生命科学研究科 クィーンズランド大学
分野 自然環境
キーワード 送電線 | 蝶 | 伐採 | 植物群落 | 生物多様性保全 | 植生遷移 | 針葉樹人工林景観 | 餌源 | チョウ類相 | 植生管理
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