琉球大学の研究グループは、絶滅危惧種ⅠA類(CR)に指定されているイリオモテヤマネコとカンムリワシが、西表島(面積:約289 km2)において餌資源を巧みに使い分けており、それが同島における2種の共存を可能にする一因となっていることを明らかにした。両種は爬虫類・両生類などの多様な動物を食べ、共通する餌品目も多くあるにもかかわらず、これまで2種の間の餌資源をめぐる競合関係に着目した研究はされてこなかった。本研究では、両種のフンを採集、あるいは関係機関から入手し、種間の餌資源をめぐる競合の有無を精査している。解像度の高さが期待できるDNAバーコーディング法を用いて、「餌品目の出現頻度」を指標とする解析を行った結果、両種が利用している餌動物は異なる傾向にあった。すなわち、両種によるが餌資源をめぐる競合がある程度抑制されており、それが同島での共存を可能にする一因となっているしていると考えられた。両種は同島の食物連鎖の上位に立ち、生態系に大きな影響を及ぼす種(アンブレラ種)である。西表島の生態系の構造解明モニタリングに新たな視点をもたらす知見であり、小島嶼における生物多様性保全や共存機構の一端の解明への貢献等が期待される(DOI:https://doi.org/10.1038/s41598-024-58204-6)。
情報源 |
琉球大学 研究成果
京都大学 Latest research news |
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機関 | 琉球大学 京都大学 北九州市立自然史・歴史博物館(いのちのたび博物館) |
分野 |
自然環境 |
キーワード | 生物多様性 | 絶滅危惧種 | イリオモテヤマネコ | 西表島 | カンムリワシ | 競合 | DNAバーコーディング法 | 餌品目の出現頻度 | アンブレラ種 | 共存機構 |
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