自然科学研究機構アストロバイオロジーセンターと基礎生物学研究所、総合研究大学院大学の研究チームは、浮遊植生(例:オオサンショウモ、オオカナダモ)の反射スペクトルが海洋惑星の生命探査に有効であることを示した。浮遊植生とは、水面に葉を浮かべる植物のこと。植物は、赤色光と近赤外線の境界(700nm)で反射率が増大する特有のスペクトル特性(レッドエッジ)を有している。──近年の天文観測により、液体の水を持つ太陽系外惑星が多数発見され、生命探査が進められている。しかし、海洋惑星では陸上植物のような反射スペクトルを持つ植生が期待できないため、新たな指標が必要とされていた。このような現状を踏まえ、研究チームは浮遊植物の反射スペクトルに実験と衛星リモートセンシングを用いて調査した。その結果、浮遊植物は陸上植物と同等以上のレッドエッジを示し、季節変動が顕著であることが確認された。また、植生の健康状態や密度の指標である「正規化植生指数(NDVI)」の季節変動パターンが陸上植物と異なることが分かった。── "光合成生物の進化が地球以外の惑星においても普遍的”であるとすれば、浮遊植物の反射スペクトルが地球以外の惑星における生命探査の新たな指標として有効であると結論している。