レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)をはじめとする国際環境団体連合「Banking on Climate Chaos(BOCC)」は、『化石燃料ファイナンス報告書2025』要約版を発表した。本報告書は、世界の大手銀行による化石燃料関連企業への資金提供の実態を分析し、気候変動の加速に対する金融セクターの責任を問うものとなっている。
報告書によれば、2024年に世界の大手銀行65行が化石燃料事業に対して供与した融資・引受額は総額8,690億米ドルに達し、前年から1,620億ドル以上増加した。特に、化石燃料の生産拡大を進める企業への資金提供は4,290億米ドルに上り、パリ協定の目標達成に逆行する動きが顕著となっている。対象銀行のうち45行が前年より資金提供を増加させており、気候変動緩和に関する方針を後退させたケースも複数確認された。
上位資金提供銀行には、JPモルガン・チェース(535億ドル)、バンク・オブ・アメリカ(460億ドル)、シティ(447億ドル)、みずほフィナンシャルグループ(403億ドル)が含まれ、日本の金融機関も世界的な化石燃料ファイナンスの一翼を担っている。2021年から2024年の累計では、JPモルガンが1,923億ドル、三菱UFJフィナンシャル・グループが1,553億ドルを供与しており、長期的な資金流入が続いている。
報告書は、国際エネルギー機関(IEA)の「世界エネルギー投資2024」などを引用し、2050年までのネットゼロ達成には石油・ガス・石炭への年間投資額を半減する必要があると指摘。にもかかわらず、銀行は短期的な利益を優先し、社会的要請に反して化石燃料産業への資金提供を拡大しているとBOCCは批判的な見解を示している。──銀行が自主的に化石燃料ファイナンスから脱却する見込みが低いことを踏まえ、政策立案者に対してパリ協定の履行を担保する規制強化を求めている。