大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER)・EIPMセンターの佐々木周作特任教授は、ネットリサーチ企業・インテージと共同で、インターネット調査における不真面目な回答を減らす新たな手法を開発した。行動経済学の「ナッジ」理論を応用し、調査参加者の行動に働きかけることで、回答の質を向上させることに成功した。
インターネット調査は、コスト効率や迅速性の面で優れている一方、自由記述式の設問では「あああ」「zzz」などの無意味な回答が多く、調査結果の信頼性を損なう要因となっていた。研究チームは、1万人以上を対象に動画視聴後の感想記入を求める調査を実施し、「コミットメント(真面目に答えると約束)」「利得強調(真面目に答えるとポイント獲得)」「損失強調(不真面目に答えるとポイント減少)」の3種類のナッジを提示した。
その結果、いずれのナッジも不真面目な回答の出現率を有意に低下させる効果が確認された。特に「損失強調」のナッジが最も効果的であり、設問数の調整など他の工夫よりも高い改善効果を示した。これにより、調査設計の質を損なうことなく、簡便かつ低コストで回答の信頼性を高める手法としての実用性が示された。──佐々木特任教授は、「新型コロナウイルスのパンデミックで、世界的にも活用数が増加したインターネット調査の効率性や質を高めるための研究を行いました。インテージ(敬称略)と一緒に、自社調査業務の改善だけでなく、業界全体の質向上も見据えて共同研究を行い、学術論文という公開される形式で成果を発表できたことを、心から嬉しく思います。」と述べている。
情報源 |
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機関 | 大阪大学 (株)インテージ |
分野 |
環境総合 |
キーワード | 意識調査 | ナッジ | 行動経済学 | インターネット調査 | 損失回避 | 自由記述式 | 調査設計 | マーケティングリサーチ | 回答品質 | 社会調査 |
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