鉄道・運輸機構は、鹿児島市船舶局および南国殖産と連携し、6月13日から15日にかけて、内航旅客船「第十八櫻島丸(プリンセスマリン)」において、ジャトロファ由来のバイオ燃料を用いた供給・運航トライアルを実施した。
鉄道・運輸機構は、鉄道や船舶などの交通インフラ整備を担う独立行政法人であり、内航海運のカーボンニュートラル化に向けた技術支援にも取り組んでいる。特に、内航海運事業者が直面する環境負荷、安全性、労働環境などの課題に対し、技術シーズを持つ企業との橋渡しを行う「内航ラボ」事業を展開しており、今回のトライアルもその枠組みの一環として実施された。ジャトロファは東南アジアに広く分布する非可食植物であり、種子から得られる油分(種子油)は30〜40%と高く、バイオ燃料の原料として注目されている。今回使用されたジャトロファ燃料は、重油との混合率3%で供給され、主機関および補助機関の駆動に用いられた。通常航路での運航において特段の問題は確認されず、内航船におけるジャトロファ燃料の実用可能性が示された。
ジャトロファ燃料の活用は、廃食油由来のバイオ燃料と並び、今後の内航船の脱炭素化に向けた有力な選択肢とされている。同機構は今後も、内航ラボを通じて技術検証と普及促進を進め、持続可能な海運の実現に貢献する方針を示している。