島根大学大学院自然科学研究科の飯田拡基教授を中心とする研究グループは、木材由来のバイオマス「リグニン」から、ナイロン原料であるアジピン酸を合成する新技術を開発した。アジピン酸は世界で年間約300万トンが石油由来で製造されている汎用化学品であり、今回の成果は脱石油型のプラスチック生産技術の確立に貢献するものとなる。
リグニンは製紙産業の副生成物として年間約5,000万トンが生産されるが、その多くは熱源として焼却されている。研究グループはこの未利用資源に着目し、環境負荷の低い有機触媒「フラビン触媒」と電気エネルギーを組み合わせることで、空気と水を試薬として活用する合成法を確立した。出発原料にはリグニン由来のメトキシシクロヘキサノン(MCH)を用い、電解合成によってアジピン酸を得ることに成功した。同研究グループの手法は、金属触媒を使用せず、廃棄物の発生を抑え、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーと組み合わせることで、持続可能な化学品製造を可能にするもの。――研究はSDGsの目標達成に資する取り組みとして、島根大学のSDGs研究プロジェクトや科学研究費補助金、科学技術振興機構などの支援を受けて実施された(掲載誌:Green Chemistry)。
情報源 |
島根大学 プレスリリース
|
---|---|
機関 | 島根大学 |
分野 |
環境総合 |
キーワード | 再生可能エネルギー | 循環型社会 | カーボンニュートラル | SDGs | 環境負荷低減 | 有機触媒 | バイオマス資源 | 電解合成 | ナイロン原料 | 脱石油プロセス |
関連ニュース |
|