文部科学省は、令和6年度「社会教育統計(中間報告)」を公表した。これは、全国の図書館・博物館・公民館・青少年教育施設など、社会教育関連施設の設置・運営状況や利用実態を調査したものである。調査は概ね3年ごとに実施され、今回は令和5年度の活動状況と令和6年10月1日時点の施設数等を対象としている。
「社会教育施設」とは、地域住民の学習・文化活動を支援する公共施設群を指し、図書館法や博物館法などに基づいて設置される。近年、電子書籍の普及やオンライン学習の拡大により、図書館などの利用が減少するとの見方もあったが、今回の調査では逆の傾向が示された。――図書館・博物館・生涯学習センターの施設数が過去最多を記録し、図書館の貸出冊数や貸出回数も増加している。特に図書館では、国民1人当たりの貸出冊数が令和2年度の4.2冊から令和5年度には4.8冊へと増加。貸出回数も1.1回から1.3回へと上昇した。これは、地域に根ざした読書活動やイベントの充実、電子書籍との併用による利便性向上が背景にあると考えられる。一方、公民館や青少年教育施設、社会体育施設などは減少傾向にあり、特に公民館の設置数は令和3年度から約5.6%減少した。これに対し、博物館類似施設や生涯学習センターは定義変更により統計対象が拡大され、増加傾向が顕著となった。また、施設の運営形態にも変化が見られ、指定管理者制度を導入する施設の割合が増加。特に社会体育施設では約43%が民間団体等による管理となっている。指導系職員数も図書館・博物館・生涯学習センターなどで増加しており、専門性の高い人材の配置が進んでいる。
同省は今後、確定値の公表に向けて精査を進めるとともに、本調査結果を基に国・地方の教育政策立案に活用する方針である。