WMO温室効果ガス年報~2024年のCO2年増加量は観測史上最大
発表日:2025.10.16
気象庁は、世界気象機関(WMO)の全球大気監視(GAW)計画に基づき、温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)の運営機関として観測データの解析を担い、その結果を「温室効果ガス年報(Greenhouse Gas Bulletin)第21号」(発行日:2025年10月15日)として国内向けに公表した。
年報では、2024年の世界平均濃度が二酸化炭素(CO₂)423.9 ppm、メタン(CH₄)1942 ppb、一酸化二窒素(N₂O)338.0 ppbとなり、いずれも観測史上最高値を更新したことが報告されている。CO₂は、長寿命温室効果ガス(LLGHGs)による放射強制力の約66%を占め、2023年からの年増加量は3.5 ppmに達した。これは1957年の近代的観測開始以来で最大の伸び幅であり、化石燃料由来の排出継続に加え、エルニーニョ現象による高温・乾燥の影響で陸上生態系の炭素吸収量が減少したこと、さらに南米やカナダなどで発生した大規模火災による排出増加が重なった結果とされる。
一方、CH₄とN₂Oの年増加量は過去10年平均を下回ったが、いずれも工業化以前と比べて大幅に増加しており、CH₄は266%、N₂Oは125%に達した。1990年以降のLLGHGsによる放射強制力は54%増加しており、そのうちCO₂が約81%を占める。これらの変化は、地球温暖化の加速と吸収源の機能低下を示唆するものであり、気候変動対策の科学的基盤として重要な意味を持つ。
本年報は、WMO加盟国56か国の観測データをもとに作成されており、日本では気象庁がWDCGGを通じて翻訳・配信を担当している。観測データはNOAAやAGAGEなどの国際ネットワークと連携して収集されており、今後の排出削減政策や国際交渉における基盤情報として活用される。
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