アメリカ環境保護庁(EPA)は、アラスカ州ブリストル湾集水域で計画されている大規模な銅や金の採鉱が、サケなどの生態系資源とアラスカ先住民の文化に悪影響を与えるおそれがある、とする科学的評価報告書を公表した。ブリストル湾は世界最大のベニザケ漁場で、世界の天然ベニザケ漁獲量の50%近くを水揚げしている。EPAはこうした生態系資源や水への影響を3年以上をかけて調査し、評価に当たっては、計画に基づく現実的な採掘シナリオや鉱業文献を考慮、鉱山専門家とも協議した。報告書によると、通常操業でも、サケの生息する河川や湿地、池沼の破壊、河川状態の変化が生じ、生態系の構造や機能に影響するとみられ、排水回収処理施設、交通路排水口、パイプライン等の故障や事故による魚やサケの産卵場所への影響、選鉱屑貯蔵施設の損壊による漁業資源への壊滅的影響などの可能性も指摘している。報告書はまた、近代的な採鉱技術でも鉱山汚染水が河川に流入する可能性はあり、廃棄物や廃液の長期管理が必要としている。