欧州委員会は、処理済の水の再利用を推進するEUレベルでの措置案について、市民、利害関係者、企業、NGO、公的機関等から意見を公募すると発表した。現在、ヨーロッパでは処理水再利用の普及が進んでおらず、処理場から排出される処理水の大部分は河川や湖沼に排水されている。再利用を進めることで、深刻化する水不足や干ばつの問題に対応するのと共に、排水による汚染リスクの軽減や処理コストの削減に役立つ。また、処理水再利用は、地域間導水や脱塩処理等を利用するのと比べ、環境への影響を軽減できる。しかし、処理水再利用の普及には、1)水の再利用のためのEU共通の環境・健康基準の欠如、2)再利用水を灌漑に使用した農産物のEU内での自由移動への障害、3)再利用水の価格設定・ビジネスモデルの不足、4)水の再利用の利点に関する利害関係者の意識の低さ、5)市民の容認度の低さ、6)技術的障害および科学的不確実性、などの課題がある。欧州委員会は意見公募の結果を参考に、2015年に正式な提案を示す予定だという。