フィンランド環境省は、生態系サービスの経済的価値を評価する国際的な取り組み(TEEB)に沿って実施した国内プロジェクトの報告書を公表した。このプロジェクトは、人間が享受している生態系サービスの便益を経済的観点から評価し、目に見える形で示すことで、土地利用や事業計画等のあらゆる意思決定でその保全と持続可能な利用が考慮されるようにすることを目的としたもの。報告書では、生態系サービスの現在の管理メカニズムの概要と変革の必要性、同国の自然資産の現状、開発に当たっての推奨事項等がまとめられ、一例としてヘルシンキ近郊の生態系サービスとグリーンインフラの空間評価が示されている。森林等の自然との触れ合いを大切にする同国では、レクリエーション等の生態系の文化的サービスに関しては比較的広範に調査されているが、社会機能と経済に必要な調節サービスについて今後さらなる調査が必要だという。ラーソネン環境相は、「清浄な空気等の生態系サービスの保全は国民の福利にとって不可欠であり、本報告書はその手段を提供するもの」としている。