世界気象機関(WMO)は、気候の急速な変動を考慮して気候の基準値の規則を変更し、従来は30年に一度だった平年値の更新を10年ごとにするとともに、長期比較用基準も維持する二本立てとすることを決定した。気候は年ごとに異なるため、過去と比較するための基準として30年間の平均を平年値とし、30年に一度更新している。だが、地球の気候変化が速くなり、水管理、エネルギー、農業などの気候に左右されやすい部門では、この平年値では判断の根拠としてデータが古すぎるとの懸念があった。そこで、WMOの最高意思決定機関である世界気象会議は、実務で使用する平年値の基準期間を10年ごとに更新し、新たな平年値算定の基準期間を1981~2010年とすることを決定した。同時に、現行の公式の平年値である1961~90年の平均を、長期的な気候変動の評価のための基本的な基準として維持する。これにより、今後はすべての国や機関の基準が統一され、国際比較が容易になると期待される。また、長期基準は、科学的に説得力のある変更理由ができるまで維持することとされた。