生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)の第5回総会がドイツのボンで開幕し、各国政府、専門家、開発関係者など600名以上の代表が集まった。IPBESによれば、開会の基調演説に立った地球変動生物学専門家のミドグリー教授は、気候変動対策としての森林の新規植樹により熱帯草原のような豊かな生態系を損なう例や、バイオ燃料の単一栽培が自然の植生を壊して炭素吸収源を減らす例などを紹介。生物多様性の保護は気候変動への適応と緩和に貢献するとしながらも、「気候変動への対策のなかには生物多様性を損なう場合もあるため、複数の課題に対しバランスのとれた政策や資源配分を決定するため科学的な知見が不可欠である」と述べたという。また、事務局長らは、気候の安定は長期的に生物多様性の保護と生態系の健全性の確保によってのみ可能になり、気候変動、土地劣化、生物多様性の喪失などの複数の大きな課題に総合的に取り組むことで、対立する課題を解決し相乗効果を生むことができると期待を語ったという。