生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)は、大規模農業は花粉媒介生物にとって深刻な脅威となり得るが、生態学的に持続可能な方法で行えば集約農業は花粉媒介生物の減少を回避し、持続可能な食料生産に寄与し得るとする研究論文を紹介した。これは、IPBESが2016年に作成した花粉媒介と食料生産に関する評価報告書の成果に基づく論文で、間作、輪作、各農地での生産品目の多様化、化学農薬の使用削減などの農法を用いれば、農業が花粉媒介生物を支える重要な役割を果たし得ることを提示した。農業が花粉媒介生物群集を傷つけ広範な受粉不良を引き起こしている現状への対策として、生態学的集約化の可能性を評価しており、より良い集約農業のための政策オプションを提供するものと期待される。論文では、生態学的集約化が花粉媒介生物群集を支えるには、それぞれの場所に適した管理対策、制度や生産性の改善、さらには農業者、政府機関および環境NGOとの知識の共同開発や交流に生態学者、商用農学者、農業改良普及員が中心的役割を担うことが必要だと指摘している。